【専門家記事】小学生の塾通いはいつからがよい?

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小学生の塾通いは、いつからさせるべきなのでしょうか? この記事では小学生の通塾開始時期について説明します。筆者は、塾での管理職を経験していますが、現在は独立。塾への勧誘と無関係な、客観的な内容です。

隣の家は、もうお子さんを塾に通わせている?

いつから塾に通わせるかを考えるうえで、やはり気になるのは、良きライバルともなる、ご近所やクラスメイトの通塾状況です。

塾に通わせ始めるタイミング 1位は小5進級時

文科省調査による学年別の通塾率です。平成20年のデータですが、現在でもこれが最新版です。数値を細かく見てゆくと、保護者が塾へ通わせ始めるタイミングは、次の順位になります。

  • 1位 小5進級時(通塾率7.1ポイント増)
  • 2位 小4進級時(通塾率4.8ポイント増)
  • 3位 小6進級時(通塾率4.5ポイント増)

世間のイメージ通りの結果ですが、高学年になる小5進級時での入塾が最も多く、次いで小4進級時です。このことから、全国平均を意識するのであれば、小学校5年生、または4年生から塾通いをさせるのが、周りにおくれを取らないタイミングと言えます。

地域差を知る 小3・小4で3人に1人が塾通いの地域も

次に、3割程度の子どもが塾に通い始める学年、という観点で考えてみます。上のグラフ(先ほどと同じもの)は、全国の3万人の小学生を対象に調査したものです。地域差は、おおむね以下のようになります。

  • 首都圏・関西圏・中京圏・四国 … 全国平均より通塾率は1~2割分程度高め。
  • その他の地域 … 全国平均並み。
  • 宮城県を除く東北地方 … 全国平均より通塾率は1割分程度低め。

地域差を考慮すると、周りの子ども3割以上が塾に通い始めている時期は、以下のように予想されます(正確なデータはなく、推測となります)。

  • 首都圏・関西圏・中京圏・四国 … 小学校3~4年生
  • その他の地域 … 小学校5年生
  • 宮城県を除く東北地方 … (全学年を通じ通塾率3割未満)

周りの子ども3割以上が塾に通い始めるという点を意識するなら、都会および四国では、小学校3・4年生から、その他の地区では小学校5年生からが目安になります。

なお、東北地方では、塾に通わせず家庭学習をさせ、結果的に全国でも上位の学力を維持しています。これは、両親が厳しく、小学校の先生の権威性が失われていない(親が先生の言うことは聞いて当然と教育している)こととも関連がありそうです。

まとめ

  • 全国平均から、小学校5年生、または4年生から塾通いをさせるのが、周りにおくれを取らないタイミングである。
  • 周りの子ども3割以上が塾に通い始めるという点を意識するなら、都会および四国では、小学校3・4年生から、その他の地区では小学校5年生からが目安となる。

参考

塾通いに代わる選択肢として、タブレット教材があります。スイッチを入れるだけで、自動的に弱点から学習をはじめ、終われば保護者のメールに連絡をするようなタブレット教材もあります。かつての通信教育は、モチベーションが続かない、教材がばらけ親が管理できないというデメリットがありましたが、電子化で大きく変わってきています。

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専門家がズバリ指摘 教科別の塾通いをスタートすべき学年

多くの学習塾が、国語・算数・理科・社会の4科のセット以外に、英語を加えたコース、国語・算数だけのコースなど、多様なコースを設定しています。個別指導塾では、1教科から習うことも可能です。

そのため、教科別にいつから塾通いをさせるべきか考えることも必要です。判断材料は、各教科のカリキュラムから、高校受験・大学受験を踏まえて、必要なタイミングを知ることです。やや専門的になりますが、筆者は、小学生・中学生・高校生のすべての授業を担当した経験がありますので、分かりやすく説明してゆきます。

算数は小3から塾通いを検討

小2の単元例 小3の単元例
かけ算 分数
1万までの数 三角形
長さ 円と球
とけい □の式

図は、小学校2年生と3年生の、算数の主な単元です。誰が見ても気づくのが、小3から分数が入ってくること。分数は、数学でつまづく大きなポイントとなっているのは、有名な話です。逆に、小学校2年生で習う、長さ・とけいなどは、日常生活のなかで、保育園・幼稚園のうちに身につけている子も多く、授業がやさしすぎると感じることもある単元です。

大きなポイントは、小学校2年生までは、日常生活の範囲の具体的な算数を学び、小3からは、抽象的な算数を学ぶことです。例えば、日常生活でひんぱんに6分の1、7分の2といった分数を使うことはありません。また、将来を考えると、有名大の理系(工学部・薬学部・医学部など)へ進むことで、大学卒業時の就職活動はほぼパスできます。理系教育の優先度は、やや高いと言えます。

算数は小3から塾通いを検討すべき。

理科は小4から塾通いを検討

小3の単元例 小4の単元例
こん虫と植物 すがたを変える水
ものの重さ ものの温度と体積の関係
豆電球にあかりをつける 電池のはたらき(直列・並列)
じしゃくのふしぎ 星や月の動き

図は、小学校3年生と4年生の、理科の主な単元です。理科は、小学校4年生への進級時にカギがあります。まず気になるのは、電池の働きです。直列や並列といった観点は、興味を持つ子と全く持たない子に分かれますが、ここでつまずくと、中学理科の第1分野(物理・化学)についてゆけなくなり、大学受験の物理に興味が持てなくなってゆきます。物理・化学は、はっきり言えば生物・地学よりも、大学受験科目への採用が多く、将来の飯の種になる科目です。

また、地学分野ですが、星や月の働きは、中学受験で多くの子どもがつまずくところです。もし、中学受験や公立中高一貫校受検を考えているのなら、外せない単元です。このほか、化学分野に直結する、ものの温度と体積の関係など、重要単元が目白押しです。

一方、小学校3年生の理科では、ものの重さの単元で、例えば1つの大きな粘土を、いくつかに分けても重さは変わらないといった、日常生活の範囲の内容が多くなりますので、多くの子が、小学校の授業だけでついて行ける内容です。

理科は小4から塾通いを検討すべき。

社会は小5から塾通いを検討

小4の単元例 小5の単元例
火事からくらしを守る 情報化社会
事故や事件からくらしを守る 自動車を作る工業
水はどこから 環境を守る
わたしたちの都道府県 日本の気候の特色と人々のくらし

図は、小学校4年生と5年生の、社会の主な単元です。小学校5年生の単元で目につくのは情報化社会。小4までの、火事・事故・事件など目に見える具体的なものから、社会構造という抽象的なものに大きく変わります。同時に、小4では、まだイメージがわく、住んでいる都道府県の中の状況がメインでしたが、小5では、日本全体を扱うように、抽象度がはね上がります。

このことから、社会科は小5から塾で習うことを検討すべき教科と言えます。なお、先々まで重要になるのは、歴史よりも公民・地理の分野です。

  • 歴史 … 私立中学受験、公立中高一貫校受検、高校受験、さらに人文系等の学部の大学受験で必須となるなど、受験上の重要度はかなり高いが、職業につながりやすいのは、公民・地理分野の方。
  • 公民・地理 … 国語の現代文(評論)分野と連動しやすく、現代を生き抜く思考力やビジネスの能力につながりやすい。能力を飛躍させる評論文・新聞・雑誌などの読書にも直結し、重要性が高い。

社会は小5から塾通いを検討すべき。

ワンポイント うちの子は隣の市のことも分かりませんが……

出典:中学受験をしようかなと思ったら読むマンガ(日経BPムック 日経DUALの本)

社会の小学校4年生の単元に、わたしたちの都道府県があり、これは日常生活の範囲内の具体的なものであるので、ついてゆきやすいと説明しました。しかし、子どもによっては、近所の様子しかわからず、住んでいる都道府県全体のことなど、興味もなく分かっていないというケースがあります。

これは、幼少期(2~5歳)の家庭教育や環境等に問題があったケースです。算数の単元でも、多くの子が具体的にイメージできる、1万までの数でつまずくことがあるでしょう。保護者がスーパー等で、大きなお札による買い物の体験をさせていない場合です。

このようなお子さんの場合、この記事にある塾通いの目安となる学年にこだわらず、至急手を打つ必要があります。通信教育で何とかなる状況とは言えず、個別指導塾・家庭教師などが候補となりますが、何より重要なのは、親が子どもとの対話を増やすことです。

国語は小3から塾通いを検討

小2の単元例 小3の単元例
つたえかた(単純な描写) 段落分け
つなぎことば(順接・逆接程度) つなぎことば
アサガオのかんさつ ローマ字
漢字(鳥・教室・午前など) 漢字(葉・原作・表すなど)

図は、小学校2年生と3年生の、国語の主な単元です。小2の国語は、日常生活が送れていれば易しい内容が多く、子どもたちも簡単な教科というイメージを持つことが多いようです。しかし、3年生に上がると、論理的な思考力を試すつなぎことばが、本格的に導入されます。さらに、現在小学校で、5年生から徐々に取り組まれている英語につながるローマ字も導入されます。

一方、漢字は、身近な具体的な意味を持つ語句が大きく、小2と小3で大きな変化は見られません。しかし、将来の文章力に影響がある段落分けの導入があるなど、やはり小3進学時は国語の大きな山場と言えます。

国語は小3から塾通いを検討すべき。

(まとめ)教科別の塾通いをスタートすべき学年

教科別の塾通いをスタートすべき学年をまとめると、以下のようになります。

  • 国語は小3から塾通いを検討すべき。
  • 算数は小3から塾通いを検討すべき。
  • 理科は小4から塾通いを検討すべき。
  • 社会は小5から塾通いを検討すべき。

教科別に考えると、小学校3年生で国語・算数を週1度程度習う、小学校4年生で理科、5年生で社会を加えることが推奨されます。

【総まとめ】小学生の塾通いはいつからがよい?

  • 全国平均から、小学校5年生、または4年生から塾通いをさせるのが、周りにおくれを取らないタイミングである。
  • 周りの子ども3割以上が塾に通い始めるという点を意識するなら、都会および四国では、小学校3・4年生から、その他の地区では小学校5年生からが目安となる。
  • 教科別に考えると、小学校3年生で国語・算数を習う、小学校4年生で理科、5年生で社会を加えることが推奨されます。

※宮城を除く東北地方では、学年を問わず、塾よりも家庭で学習させる傾向があります。

学力高い 学力中の上 学力中の下 勉強苦手
1年生 家庭(成功体験重視)
2年生 家庭(国・算)
3年生 個別塾(国・算) 家庭(国・算・理)
4年生 塾(中学受験) 通信(国・算・理) 個別塾(国・算)

通信(理)

家庭(4科)
5年生 塾(中学受験) 塾(公立一貫)

通信(4科)

個別塾(国・算)

通信(理・社)

家庭(4科)

通信(得意教科)

6年生 塾(中学受験) 塾(公立一貫)

通信(4科)

個別塾(国・算)

通信(理・社)

家庭(4科)

通信(得意教科)

あくまで参考ですがモデルプランです。家庭は、家庭教師・保護者・親戚の指導を指します。

  • 学力が高い子ども … 学校の授業には難なくついてゆくはずですが、好き嫌いには注意してください。塾は、私立中学受験をさせるなら小4から、少し余裕をもって公立一貫校に臨ませるなら小5からが良いでしょう。
  • 学力中の上の子 … 小3までの内容は、少し難しくなる国語・算数も含め、こなせるでしょう。小4から、塾費用のことも考え、通信教育を試みると良いでしょう。通信教育は、受験(受検)には非対応、低学力だと投げ出すという傾向があり、学力中の上の小学生とは好相性です。
  • 学力中の下の子 … 教科ごとに難度が上がるタイミングで、集団でなく個別指導塾に通わせると良いでしょう。受け身にならず、自分から勉強に取り組めるように、理社または得意科目では、通信教育の併用がおすすめです。
  • 勉強が苦手な子 … 勉強が苦手な子は、学校でほめられたことが1度もないという状況になりがちです。家庭教師、保護者、親戚などが1対1で教え、はじめは進度を度外視して、成功体験を積ませましょう。そして、国語・算数は2年生から、理科は3年生から、理科は4年生から、標準より1歩早く対策を始めてゆきます。

(注)通信教育は、紙教材の場合投げ出しがちで、学力が高くかつ好き嫌いがない子にしか合いません。モチベーションを上げる工夫があるタブレット教材がおすすめです。

【教育専門家】スマイルゼミの口コミ評価と評判~小学生版の効果は?~

(注)個別塾は、1:2から1:6までがおすすめです。クラスの人数の多い塾(7名以上)は、子どもにとって、小学校の授業の繰り返し、延長戦となってしまいます。7名以上の塾は、学力や目的意識が高い子しか、入れてはいけません。

(注)スマホを与える場合、居場所把握機能だけでなく、動画やゲームを制限できる機種が、学力向上には不可欠です。

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